勉強の仕方アドバイス
「子ども(小学生)の国語力を伸ばしたい」
という親御さんは多いでしょう。国語力はいわゆる“日本語を理解し、表現する力”といえます。日本に住む以上、今後の暮らしに影響を与えない程度に国語力は上げておきたいですよね。そこで今回は、国語力について詳しく紹介しながら、国語力の伸ばし方などを解説していきましょう。子どもの国語力は低いと感じている親御さんは、ぜひ参考にしてください。
目次
国語力がすべての勉強の基礎?
どんな分野においても「基礎が大切だ」と、よく言われます。
このことは、例えばスポーツに当てはめれば納得しやすいです。一流の選手ほど、基礎を 重要視し、基礎練習を欠かしません。
では、勉強の分野はどうでしょう?
“国語力はすべての勉強の基礎である”と言われることがあります。
国語力が低いと他の科目の勉強が成り立たない、ということです。
これに関しては、コチラをお読みください。
国語力(≒読書力)が具体的に、他科目にどう関係するのかが紹介されています。
これを読めば、国語力が全ての勉強の基礎となっていることが理解できます。
国語力の意味は、人それぞれ??
「国語力」は、人によって意味の捉え方が異なることが、よくあります。
それは、“どうすれば国語力を伸ばすことができるのか?”に対する答えが一つではないことからもわかります。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?
その理由は、単純です。 “国語力”という言葉は、正式な日本語ではない(明確な定義を持たない)からです。
もともと意味が曖昧なので、捉え方も人それぞれなのです。
国語力って何?
国語力の定義が曖昧なままだと、それを伸ばす方法も、その測り方も曖昧になります。
そこで、この記事では国語力を以下のように定義付けます。
「国語」=「日本語」、「力」=「扱う技能」で、上記の定義としました。
国語力の定義を、日本語に対する『読む』『聞く』『話す』『書く』の四技能であると分割して考えれば、
それぞれを「伸ばす方法」や、「測る方法」も考えやすくなります。
先ほどの三者は、それぞれ国語力の四技能から一部を、抽出していたわけですね。
Aさん:「たくさんの本を読むことです。」…『読む』
Bさん:「普段から綺麗な日本語で会話するべき。」…『聞く』・『話す』
Cさん:「文章(新聞等)の書き写しが一番だ。」…『書く』
では次からは、
『聞く』力を伸ばす方法と、測る方法
『話す』力を伸ばす方法と、測る方法
『読む』力を伸ばす方法と、測る方法
『書く』力を伸ばす方法と、測る方法
をそれぞれをご紹介します。
『聞く』力を伸ばす方法は?
『聞く』力は、国語力のなかでは目立たない方かも知れません。
しかし、例えば小学校での授業を受ける際に、この力は非常に重要な意味を持ちます。
黒板への板書やプリントへのワークも大切ですが、やはり先生の話を『聞く』力が低すぎると、授業内容の理解は困難になります。
『聞く』力を伸ばす方法は、「子どもに“真剣に”話を聞かせる機会を増やす」です。
これは、当たり前と言えば当たり前です。“真剣に”話を聞く、という事を普段からしている子どもは『聞く』力があります。
能力というより、無意識に出来ている状態です。
逆に “真剣に”話を聞く、という経験を殆どしないまま日々を過ごしている子どもも、います。(私の見立てでは、結構います。)
そういった子が、ある日急に“真剣に”話を聞けるようになるかと言えば、そうは行きません。やはり難しいです。
子どもに“真剣に”話を聞かせる機会を増やすには?その方法をご紹介します。
これは私の持論ですが、「子どもに、人の話を聞くことが楽しいと思わせる」ことが大切だと思います。
何故なら子どもの“真剣”は“興味がある”と同義だからです。
そして、その変化を起こすチャンスを最も多く持つのが親です。(友人や学校の担任などがその役割を担うケースもあります。)
具体的には、
①「子どもと、何でも話せる関係を築く」
②「親から子に、楽しい話題で話しかける」
③「子どもに対し威圧的・支配的な話し方をしないようにする」
あたりが大切でないかと思います。
特に③は、子どもの『聞く』力を下げてしまう行為なので、しないように心がけてください。
『聞く』力を測る方法は?
子どもの聞く力を測る方法を、二つご紹介します。
1.授業参観の時、観察する。
2.親が本を読んで聞かせ、その後クイズを出す。
1は、そのままです。子どもの『聞く』姿を、(できれば物陰にかくれてこっそりと)観察しましょう。
子どもが先生の話をしっかりと聞けているのかどうか。ポイントは目線。
先生が話している時に、先生の目をしっかりと見ているのかどうか。これだけでかなり『聞く』力が測れます。
もちろん、目だけしっかり見て話は全く聞けていないケースも、無くはないです。
しかし、最近は、しっかり目を見て聞くという事すら、出来ない子どもが非常に増えています。
授業参観での観察は、態度だけでも、聞けているかどうか。その大きな線引きは可能でしょう。
2は、ご家庭で、ゲーム感覚でやっていただきたいことです。
本人が読んでいない本(少なくとも暗記はしていない本)を、数ページだけお母さんが音読し、その後内容についてクイズを出す。
答えられるかどうかで判断してください。
どこまでのクイズに答えられれば良いのか、その基準はありませんが、正解数が多いほど、『聞く』力があることに期待して良いでしょう。
かなりカンタンな質問でも皆目答えられないようだと、危機感を持つべきかも知れません。
この2は、先ほどの『聞く』力を伸ばす方法②につながります。
楽しい雰囲気で親子共にクイズを楽しめるなら、継続的に行うことで子どもの『聞く』力は伸びていきます。
『話す』力を伸ばす方法は?
どうすれば、子どもの『話す』力が伸ばせるでしょうか。
その為には、「子どもに“考えて”話させる機会を増やす」ことです。
子どもは基本的に、深く考えずに話します。思いついたままを口にし、内容をまとめてから話そうという姿勢自体を、あまり持ちません。
ただ、それは、悪いことではありません。親しい友人や家族と話すときは、大人でもそういうものです。
しかし、考えて話す機会が全くないのは、ダメです。
考えて話すべき場面(面接や、口頭テスト)になった時、普段の話し方の質が、隠しきれない差として出てきます。
では、子どもに“考えて”話させる機会を増やすには、どうすればよいのでしょうか?
その為には、普段の会話の中で、聞く側の「誘導」と「聞く姿勢」が必要となります。
以下は、ある親子の会話です。
親:「今日は、学校で何したの?」
子:“…サッカー”
※1親:「そうなんや、サッカーしたんや。あんた、サッカー得意やもんね。」
子:“…。”
親:「サッカー、好き?」
子:“うん。”
※2親:「サッカーしてて、どんな時が楽しい?」
子:“…シュート。”
※3親:「あー、シュートが決まった時ね。決まると、気持ち良さそうやもんねー。」
子:“二・三人、ドリブルで抜いてからシュート決めたりしたら気持ち良い”
親:「ドリブルで敵を抜くのも、カッコいいね。そうかー。」
子:“ドリブルだけじゃなくてフェイントとかも使う。”
何の変哲もない会話ですが、こういった関わり方をすることで、子は考えて話す力を伸ばしていきます。
このお母さんは、髄所(※)で「誘導」と「聞く姿勢」を意識しています。
※1…得意という褒め言葉を使って、子どもの話す意欲を高めています。
※2…好きという気持ちの詳細を、答えやすい質問で考えさせています。
※3…子どもの話の内容をオウム返しにし、積極的に聞いていることを伝えています。
いかがでしょうか?大切なことは、子どもが「話したい!」と思うことです。
※1で、「いや、そうじゃなくて勉強は?」と言うと、もうこの子は口を閉ざすかも知れません。
※2で、「ふーん。でも勉強もしなあかんよ?」と言うと、この子は話したい気持ちが無くなるかも知れません。
※3で、「…あんた、もっと主語と述語をちゃんと言いなさい。」と言うと、おそらくこの子は親と話すのが面倒になります。
『話す』力を測る方法は?
子どもの『話す』力を測ることは、少し難しいことです。
何故なら、子どもは親に対して“考えて”話そうとはしないからです。…では、どうすれば?
答えは、「ママ友の協力をあおぐ」です。
小・中学生の子どもにとって、「友達のお母さん」は、他人でありながら話しやすく、かつ少しの緊張感も持つ存在です。
子どもに、お互いの家を行き来するような親しい友達がいれば、そのお母さんと連絡を取り合える状態にし、
「自分の子どもが友達のお母さんとどんな会話をしたのかを聞く」という方法です。
例えば、習い事の話題になった時、
「ぼくは月曜日にソロバン、木曜日に水泳、金曜日に英会話に行っています。」
といった綺麗な受け答えをするのかどうか。
例えば、住所の話題になった時、
「あの、マンションみたいな、えーと、黄色いマンションみたいなとこ。コンビニが、コンビニから、ちょっと歩いたとこにあるやつ…。」
といったまとまりのない受け答えになるのかどうか。
勿論、どんな受け答えが良い悪い、ではありません。しかし、子どもは友達のお母さんには、ある程度“考えて”話すものです。
機会があれば是非、ママ友に“ウチの子、何かしゃべっていました…?”と情報収集しましょう。
意外な発見があるかも知れません。
『読む』力を伸ばす方法は?
『読む』力を伸ばす方法をご紹介します。
それは、「子どもに“真剣に”文を読ませる機会を増やす」です。
そんなの当たり前じゃないか、と思われるかも知れません。ですが、実は、これが出来ていないお母さんは非常に多いのです。
その理由は、お母さんが読ませたいモノと、子どもは読みたがるモノが、往々にして一致しないからです。
子どもが“真剣に”文を読むかどうか = 子どもが“興味を持って”文を読むかどうか
これを大前提に考えれば、本好きでもない子どもに分厚いシリアスな名著を読ませようとすることがいかに無意味であるかが解ります。
つまり、子どもが「現時点で」興味を持てる文を読ませることが大切なのです。
例えばサッカーが大好きなのであれば、サッカーの戦術やテクニックに関する本を“真剣に”読むかも知れません。
テレビゲーム好きなら、説明書や攻略本を“真剣に”読むかも知れません。(最近は説明書もデータ化され、テレビで視覚的に読むものが増えていますが…)
注意すべきことは、せっかく子どもが“真剣に”文を読んでいても、褒めずにいることです。
更によくないのは、「そんなモノより、こういった本を読みなさい」というように子どもの真剣な読みを、否定することです。
これは、せっかくの『読む』力を削ぐ行為と言えます。
『読む』力を測る方法は?
読む力を測る方法は、あるのでしょうか?数値化は出来ませんが、あります。
それは、「本屋さんに行き、子どもが“読みたい!”と思う本を自由に選ばせる」です。
図鑑やハウツー本は、判断が難しくなるので、物語(絵本を含むお話)から選ばせる方が良いでしょう。
図書館ではなく、本屋であることもポイントです。
自分の所有物になる本を選ぶとき、子どもはしっかりと“自分の読みたさ”を考えて本を選びます。
そして、その本の「対象年齢」「絵の多さや字の小ささ」「本の内容」と、子どもの年齢を比較するわけです。
これにより、子どもの『読む』力が、ある程度わかります。
単純ですが、ビックリするくらい幼い本を選ぶこともあったり、意外と大人っぽい本を選ぶこともあったり…。
子どもの『読む』力に対し、何かしらの発見が出来ることは確かです。
注意していただきたいのは、本に表示される「対象年齢」は低めに設定されているという事です。
+2年くらいで判断してください。(「対象年齢3~4年生」という表記があれば、「対象年齢5~6年生」と捉えてください。)
本を、そもそも欲しがらない。本を買っても全く読まない場合は、別の対策が必要です。
その問題に関してはコチラをお読みください。
『書く』力を伸ばす方法は?
『書く』力を伸ばす方法は、非常に多種多様です。
王道としては、学校や学習塾で行われる「添削」があります。
ただ、この方法には一つ問題点があります。それは、子どもの意欲が大前提として必要となるという点です。
つまり、子ども自身に“『書く』力を伸ばしたい!!”という強い意志が無ければ、伸びが期待できないということです。
―そして現代は、その意思を持てていない子どもが非常に増えている気がします。
『書く』力を伸ばしたいという気持ちのない子どもの、『書く』力を伸ばすには、どうすれば良いのでしょうか。
それは、「子どもの書いた文章を“手放しで”ほめること」です。
これにより、子どもの文章を書く意欲があがり、書く頻度が増え、それが練習量となり、自然と『書く』力は上がっていきます。
子どもが書いた文章を、ただ、ほめる。…一見非常にカンタンです。しかし、多くのお母さんにとってこれは、苦行かも知れません。
なぜなら、親心として、我が子の書く文章に対しては、厳しい目を持ちやすいからです。
私の経験でも、自分の子どもの書く文章力に満足しているお母さんに出会ったことは、10年間で一人くらいです。
親の“期待”を一旦置いて、子どもの気持ちで「自分の書いた文章に対し、親がどうコメントしてくれたら嬉しいか」を考えるべきです。
…解っていても、難しいことですが。
『書く』力を測る方法は?
子どもの『書く』力を測る方法を紹介します。
一番早いのは、「とりあえず何か書かせてみること」です。それを読めば、現時点での子どもの『書く』力が、ある程度わかります。
…しかし、このやり方では現実的な問題が残ります。それは、子どもの“意欲”です。
子どもが“書きたくない”文章を書く時、驚くほど雑で、読めないほど汚い字で、悲しくなるほど稚拙な文章を書くものです。
そんな文を基準に、子どもの『書く』力を測るのはやめましょう。
子どもが本気で書いていないなら、意味がないのです。(それはそれで、子どもの現状を表しているのですが。)
ではどうすればよいか?
子どもが、大好きなことに対して書いた文章を基準に、判断することです。
・熱心にスポーツに取り組んでいるなら、その練習や目標などについて。
・学校行事で特に本人が意欲的に取り組んでいる行事があるなら、その感想について。
・大好きな本があるのであれば、その感想文を。
子どもが“書きたい”と思って書く文章は、イキイキとして表現描写も細かくなり、自然と良い文章になりやすいものです。
子どもが“書きたい”と思う分野が多ければ良いのですが、
逆に、何にも関心を示さない子であれば、『書く』力を判断する機会はなくなります。
その意味で、小さいうちから子どもの性格や興味に気を配り、一つでも関心を持てる分野を見つけられるよう、導くことも大切です。
また、本であれば数日~1週間ほどで読めるので、子どもが“大好き”だと感じる本に出会ったときはチャンスです。
「どう面白いのか、お母さんも知りたいから、これに感想書いてくれる?」と原稿用紙を渡してみるのも良いでしょう。→ちびむすドリル(原稿用紙)
また、子どもの書いた文章を読んで『書く』力を測る場合には、以下のような点を意識すると良いと思います。
・誤字・脱字が、以前と比べて減っているか ・日本語として正しい文章の量が、以前と比べて増えているか
・自分の感情や考えを表す文章の量が、以前と比べて増えているか
・比喩やオノマトペ※など、文章に工夫が出来るようになっているか
※オノマトペとは?
どの点に着眼するにしても、「以前に比べて、どうか」だけが大事です。
『書く』力だけに限らず、国語力というものは、年齢で決まるものではありません。
「○年生だから、これくらい出来なきゃ」という親の目線は、時に子どもの意欲を低下させます。
誤字や脱字がたくさんあったのに、今、ゼロになっているなら成長です。
自分の感情が全く書けなかったのに、今、一つでも書いているなら成長です。
そうやって常に「以前と比べて、どうか」を意識しましょう。
その意識を持つことが子どもの『書く』意欲にも影響し、ひいては『書く』力の向上に結びつくのです。
【 まとめ…国語力は、習慣のたまもの 】
国語力を『読む』『聞く』『話す』『書く』の四技能に分け、伸ばし方と測り方をご紹介しました。
日本で生活する以上、日本語に触れない日はありません。
子どもたちは毎日、『読み、聞き、話し、書いて』います。
こんな言葉があります。
“国語力は、その人の生き方である”
読む・聞く・話す・聞く、という行為全てが国語力ですから、日々の生活の中で、どのように物事を受け取り、どのように表現するか。
それが全て、国語力に繋がっているのです。
国語は一般的に、「成績を伸ばしにくい科目」とされています。その根拠は、国語力が日常の過ごし方の中で培われるものであるからです。
だからこそ短期間では変化が起こしにくいのです。
子どもの国語力に不安を持つお母さんは多いですが、焦っても良いことはありません。
お子さんと関わる生活の中で、一つでも、今回の記事がヒントになることがあれば嬉しいです。
「子どもの国語力を伸ばしたい!」
『ベネッセグリムスクール』には、そのヒントがたくさんあります。