中学の学力テストとは?実力テストやチャレンジテストとの違いも解説

勉強の仕方アドバイス

 

「学力テストとチャレンジテストの違いはなに?」「本当に必要なの?」

 

などと、テストが続くと気分が落ち込んでしまう人は多いでしょう。定期テスト以外にあるテストとして“学力テスト”と“チャレンジテスト”の必要性に疑問を感じている生徒もいるかもしれません。そこで今回は、学力テストとチャレンジテストの違いや共通点についてよく知らない人のために解説していきます。また、入試に関係するのかどうかについても解説します。

学力テストってなに?

いわゆる「学力テスト」と呼ばれているものは、正式には「全国学力・学習状況調査」と言います。毎年4月の下旬に行われるもので、文字通り学力だけでなく「学習状況」の調査という目的があります。

「学力テスト」とは、正式には「全国学力・学習状況調査」のこと。
という事は、覚えておきましょう。(このコラムでは「学力テスト」と表記します。)

これでスッキリ!これが、中学生のテスト全種類

中学生が入試本番までに受ける「テスト」と呼ばれるものは、以下の5つです。

テストの種類 実施者 内申への影響
1 定期テスト 中学校 あり
2 実力テスト 中学校 あり
3 模試(受験は任意) 五ツ木・ベネッセなどの私企業 なし
4 学力テスト 文部科学省 なし
5 チャレンジテスト 大阪府教育委員会 なし(※間接的にあり)

 

1、2に関しては、中学校実施のテストです。内申に直結します。
3に関しては、以前のコラム⇒五ツ木模試ってなんですかをご覧ください。自分の現状を知る為のテストです。

4の学力テストと、5のチャレンジテスト。これがややこしい。
最大の違いは内申に影響するか否かです。※学年によっても異なります。

学力テストは何のためにある?

学力テストは、内申に影響しません。「内申に関係する話だけ知りたい!」という方は、こちらをクリック→チャレンジテストと内申点の関係

では、学力テストは何のためにあるのでしょうか。
正式名称が「全国学力・学習状況調査」であることからわかるように、文字通り「調査」のためです。文部科学省としては、義務教育の「現在の達成度」をハッキリさせることで、「今後の改善策」を立てたいのです。

また、学力だけではなく、アンケートのような形で現代の子ども達の考え方や、勉強に対する向き合い方、道徳観などを調査します。学力をはじめ、あらゆる視点から“今”の子ども達を捉えることで、今後の学校の在り方を検討したい、という目的があるのです。

学力テストで、何がわかる?

 平成27年度の学力テスト(4/21実施)の結果報告を、簡単に抜粋してご紹介します。
http://www.nier.go.jp/15chousakekkahoukoku/summary.pdf

今の子どもたちは、
   ①データなどから情報を読み取るのは得意。自分の考えをまとめたりすることは苦手。
 ②勉強に対する「意欲」・「重要視」・「理解度」が、全て下降傾向にある。
 ③(中学生の)35%が、一日2時間以上ゲームをしている。

①は、テスト問題と正答率から判断された内容です。
②・③は、アンケート結果の内容です。

上記結果は、日頃、小・中学生と関わっている立場からすると、なかなか腑に落ちる内容です。残念ながら。①~③のようなお悩みを持つお母さんは、非常に多いです。
学力テストは文部科学省が実施しています。こういった“現代の子どもが持つ課題”を把握し、学校教育の方針やカリキュラムなどに、反映することが目的なのです。

学力テストを活かす方法

学力テストは内申に関係しません。しかし、学力テストの結果を知ることで、「現代の子どもを取り巻く学習環境」が解ります。親としてその結果を、我が子の習い事選びの参考にする、というのは一つの手です。
例えば「自分の考えをまとめることが苦手」という点に、不安を伴う強い共感をしたのであれば、国語力を伸ばす為の習い事を検討する…というように、です。

チャレンジテストは何のためにある?

府の教育委員会が実施するチャレンジテストにも、学力テストと同じような意図があります。大阪府のHPでは、以下のように書かれています。

府内における生徒の学力を把握・分析することにより、大阪の生徒の課題の改善に向けた教育施策及び教育の成果と課題を検証し、その改善を図る。
http://www.pref.osaka.lg.jp/shochugakko/challenge/h28jjissiyouryou.html

上記の表現だけであれば、学力テストの実施目的と大差がありません。
しかし、この文章の続きで、内申点との関係性に触れています。

加えて、調査結果を活用し、大阪府公立高等学校入学者選抜における評定の公平性の担保に資する資料を作成し、市町村教育委員会及び学校へ提供する。

「評定=内申点」と捉えて、差支えありません。
つまり、上記の文章をわかりやすく言い換えますと、

内申点の公平性を保つために、チャレンジテストの点数を活用する」ということです。

内申点の中学校格差について

チャレンジテストと内申点の関係について知る為には、まず「内申点の中学校格差」という概念に触れる必要があります。
そもそも、内申点というものは、中学校間での公平性を保つことが難しいのです。なぜなら、中学校によって、生徒の学力平均値や定期テストの難しさが異なるからです。

A中学校とB中学校があるとします。
A中学校は、比較的高い学力の生徒が多数在籍しています。
B中学校は、比較的低い学力の生徒が多数在籍しています。

それに伴いA中学校とB中学校では、定期テストの難しさも全く異なっているとします。(※「A中学校」の方が、圧倒的に難しい)。よって、A中学校の定期テストでは60点を取っている生徒において“もし、B中学校のテストなら80点取れるのになぁ…”という状況が発生するのです。

定期テストと内申点は直結しますから、この中学校格差は、問題であると言えます。

チャレンジテストと内申点の関係

チャレンジテストは、内申点の「公平性」を保つために活用されます。
活用のされ方が、現在(2016年6月時点)中学3年生の生徒と、現在中学2年生以下の生徒で、異なります。

現在の中3(2017年に受験する生徒)が対象のルール

チャレンジテストの結果の内申点への影響は、かなり間接的です。
語弊を恐れず言いますと、個人レベルでは殆ど影響しません。先程のA中学とB中学を引き続き例に、ご説明します。(A中学校…学力水準が高い。B中学校…学力水準が低い。)

自然な流れで、A中学校の方が、チャレンジテストの結果は良くなります。

チャレンジテストの結果に応じて、例えばですが、

A中学校は、内申点の平均値を3.2~3.8とするように」といった指導が入るのです。
中3全員の内申点の平均値を、文部科学省に決められる、ということです。
そして、中学校には
B中学校は、内申点の平均値を2.8~3.4とするように」といった指導が入ります。

このように、チャレンジテストの個人の点数が内申点に影響するわけではないのです。
考え方としては、「チャレンジテストを頑張って、自分の中学校の評価を上げることで、良い内申点がもらいやすくなる(かもしれない)」という程度です。

(結局A中学もB中学も内申の平均が「3.3」で落ち着く、ということもある訳です)

現在の中2以下(2018年以降に受験する生徒)が対象のルール

チャレンジテストが、場合によって、内申点に直接影響します。
具体的には、チャレンジテストで、極端に高い点数・もしくは低い点数を取った時に、内申点への影響があります。

以下の表をご覧ください。

国語の評定(内申点) 評定5 評定4 評定3 評定2 評定1
評定範囲(チャレンジテスト) 100~46点 82~35点 70~22点 55~8点 45~0点

※【平成27年度 中2 国語】を例として挙げています。

ある中2の生徒の「国語の内申点」を中学校が決めようとしています。
上記の表は、中学校が、その生徒に「評定3」をつけたい場合、その生徒のチャレンジテストが70~22点の範囲にあることが条件となる、という事を意味しています。

この中2の生徒が、もし、チャレンジテストの国語で22点未満を取った場合は、「評定3」の範囲から外れることになります。つまり、評定は「2」か、「1」となります。
逆に、チャレンジテストの国語が71点だった場合も、いい意味で、「評定3」の範囲外です。よって、評定は「4」もしくは「5」となります。

このように、極端に高い点数・もしくは低い点数を取った時に、チャレンジテストが内申点に影響します。

結局、どのテストが大事なの??

結論として、「定期テスト」と「実力テスト」こそが、大事だと言えます。

「チャレンジテスト」は、範囲や出題傾向が細かくは解らない為、対策のしようがありません。かつ、内申点への影響もかなり間接的です。
「学力テスト」に至っては内申点に全く影響しない為、「チャレンジテスト」以上に、気にする必要はありません。
中学校が実施する「定期テスト」と「実力テスト」は、普段の中学校授業をしっかり聞くだけで、十分に対策が出来ます。そして、内申点に直結します。

子どもの「学力テスト」や「チャレンジテスト」が少々悪いと思っても、気にすることはありません。逆に、「定期テスト」や「実力テスト」は、受験の成否に直結します。
さらに、「定期テスト」の勉強をしっかりしていれば、それが「チャレンジテスト」の対策にも繋がるので、内申への影響を心配する必要はなくなります。

 お子さんへの声掛けの参考にしてください。

 

この記事の筆者

佐藤 弘樹Sato Hiroki

大学時代、個別指導塾の講師として従事。当時から、生徒ができるまで、真摯に向き合う姿勢は周囲から驚愕されたほど。その後、大学時代の個別指導塾の講師経験を活かしたいという想いから、KECの経営理念である教育第一主義に賛同し、KEC個別指導メビウスに入社。KECでも、群を抜いて、忍耐力が強く、生徒がわかるまで、とことん向き合い成績UPへ導く指導には定評がある。講師歴12年の知見により、生徒をやる気にさせ、点数UPさせる指導実績も豊富。 (プロフィール詳細はこちら)

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