塾選びのポイント
「個別指導と家庭教師の違いってなに?」「どっちがいい?」
などと、習い事をするうえで疑問に思っている人は多いでしょう。結論から言うと、どちらの方が優れているという優劣をつけることはできません。なぜなら、どちらにもメリット、デメリットがあり、生徒ひとりひとりの状況によっても変化するからです。そこで今回は、皆さんが気になる双方の費用感と特徴を紹介していきましょう。個別指導と家庭教師、自分はどちらに向いているのかなどの参考にしてみてください。
関連参考コラム:学習塾で集団塾と個別指導がありますが、その違いは?
目次
費用の差はどれくらいありますか?
HP上に料金を掲載しているところからランダムにピックアップしました。
まずは参考に以下をご覧ください。家庭教師、個別指導ともに、同じ「1:1」のマンツーマン指導の場合です。
【参考例】月4回の授業料[家庭教師]-90分間授業×週1回=月4回の授業料
F社 | S社 | G社 | K社 | 平均 | |
---|---|---|---|---|---|
小学生 | 17,400円 | 12,230円 | 9,600円 | 18,000円 | 14,308円 |
中1・2 | 18,000円 | 13,060円 | 10,800円 | 19,800円 | 15,415円 |
中3 | 18,000円 | 16,120円 | 10,800円 | 21,000円 | 16,480円 |
高校生 | 21,600円 | 18,340円 | 12,000円 | 22,800円 | 18,685円 |
※税別表記
【個別指導 1:1の場合】(90分×月4回)
A塾 | B塾 | C塾 | 平均 | |
---|---|---|---|---|
小学生 | 17,850円 | 20,000円 | 14,410円 | 13,065円 |
中1・2 | 18,900円 | 22,300円 | 14,920円 | 14,030円 |
中3 | 19,950円 | 23,800円 | 16,050円 | 14,950円 |
高校生 | 23,100円 | 26,200円 | 18,780円 | 17,020円 |
※税別表記
平均すると個別指導と家庭教師では、1,000円(税別)程の差でした。これを大きいと捉えるか、小さいと捉えるかは人それぞれではありますが、大幅な差はないと言えます。年間で約12,000円(税別)程の差になります。 次に、個別指導(1:2)の場合で比較してみます。
【個別指導 1:2の場合】(90分×月4回)
A塾 | B塾 | C塾 | 平均 | |
---|---|---|---|---|
小学生 | 6,000円 | 7,000円 | 5,750円 | 4,688円 |
中1・2 | 1,3000円 | 12,500円 | 11,250円 | 9,188円 |
中3 | 15,000円 | 14,000円 | 15,250円 | 11,063円 |
高校生 | 16,000円 | 15,000円 | 16,000円 | 11,750円 |
※税別表記
家庭教師と比較した場合、小学生で約10,000円(税別)程、中学生で約5,000円(税別)程の差があります。年間で、小学生で約120,000円(税別)程、中学生で約60,000円(税別)程になりますから、大きな差と言えます。
家庭教師の授業料(別例)
F社に関して、同じ90分×月4回の授業でも、コースによって全く授業料が異なるパターンがありましたので、参考にご紹介します。
【F社の例】コース別料金(90分×月4回)
コース① | コース② | コース③ | コース④ | コース⑤ | |
---|---|---|---|---|---|
小学生 | 12,500円 | 17,400円 | 30,000円 | 36,000円 | 49,200円 |
中1・2 | 13,400円 | 18,000円 | 30,000円 | 36,000円 | 49,200円 |
中3 | 13,400円 | 18,000円 | 30,000円 | 36,000円 | 49,200円 |
高校生 | 15,250円 | 21,600円 | 30,000円 | 36,000円 | 49,200円 |
※税別表記
コースの違いは、HPを見る限り、「講師のレベルの差」のようです。例えば、コース⑤は「業界トップレベルのプロ講師」と記載されていました。ちなみに、コース③から「プロ講師」の記載があり、そこから授業料も全学年一律の設定になっています。コース①、②は大学生の講師と推測されますが、明確な記載はありません。
このように、同じ授業時間でも、料金が2倍、3倍も違うケースもありますので、詳細については直接問い合わせるなど、事前にしっかり確認しましょう。
家庭教師の授業料(注意点)
家庭教師のHPを見ていると、1ヵ月の授業料が明確に記載されていない場合があります。
【例】1コマあたりの授業料の記載しかない
- 小学生・・・1コマ(60分) 1,600円
- 中学生・・・1コマ(60分) 1,800円
- 小学生・・・1コマ(60分) 2,000円
1ヵ月間でいくらかかるのか記載がないケースです。この場合、注意しなければいけないことは、1ヵ月間にかかる費用を事前にしっかりと調べておくことです。また、1コマ 2,000円程度であれば、非常に安いのではないか、という錯覚を起こしやすくなります。
上記の中学生の場合で計算してみます。
(例)中学生…60分 1,800円
【60分/月4回】 1,800円×4回=7,200円
90分換算してみると、
【90分/月4回】 2,700円×4回=10,800円
結局のところ、授業料は月に10,000円は必要ということになります。ただ、この料金設定で見た場合、上記の表から見ても、非常に安価で家庭教師が依頼できることが分かります。授業料だけで見た場合、1:2の個別指導塾よりも安価な場合もあります。
しかし、授業料だけで家庭教師を選ぶことは非常に危険です。なぜなら、授業料以外にかかる費用が発生する場合があるからです。それによっては、結果的に個別指導塾よりも高額になったり、他の家庭教師と比較してもあまり変わらなかった、ということも起こりえるので注意が必要です。語弊のないように言っておくと、個別指導塾においても同様のことが言えます。
これについては、次の項目をご覧ください。
授業料以外に必要な費用はありますか?
個別指導と家庭教師、どちらにも言えることですが、授業料以外にも必要な費用があることに注意しましょう。
【入会金・登録料】
初めて入会する時にかかります。かからない場合もあります。
[安>]円~20000円
【月会費・管理費】
毎月固定で支払う料金。指導サポート費、教室の管理費などに充てられます。
[目安]0円~5000円
【教材費】
個別指導塾であれば、塾専用の教材を使用している場合があります。家庭教師の場合も、独自の教材を使用する場合もあれば、学校の教材や既に手持ちの教材を使って指導してくれる場合もあります。年間で計算した場合、高額になる可能性がありますので注意が必要です。
[目安]0円~数万円?
【解約金】
契約途中で退会する場合に発生する場合があります。もしかかる場合は、解約金がいくらかかるのか、いつでも解約できるのか確認しましょう。 [目安]0円~数万円?
【交通費】※家庭教師のみ
家庭教師ならではの費用です。講師が各家庭まで通うまでの交通費です。会社により異なるので、確認が必要です。各家庭が負担する場合、業者が負担する場合、折半する場合など様々です。もしも全額負担しなければならない場合を考えます。片道200円、往復400円の場合、月4回であれば合計1600円かかることになります。
[目安]0円~数千円?
>>中学生の学習塾の費用相場|個別指導塾から集団学習塾まで料金を比較!
個別指導と家庭教師の特徴は何ですか?
家庭教師 | 個別指導 | |
---|---|---|
指導形態 | 講師1人に対して、生徒が1人 | 講師1人に対して、生徒が1人~数人 |
授業料 | ※場合による | ※場合による |
カリキュラム | ※生徒の時間や苦手科目に合わせたオーダーメイド式 | ※生徒の時間や苦手科目に合わせたオーダーメイド式 |
学習環境 | 自宅で保護者の目が届きやすい | 質問がしやすく、一人ひとり丁寧に指導してくれる |
メリット | 通塾にかかる時間的なロスがない | 指導の内容や教え方など社会やニーズに合わせて常に変化している |
デメリット | 講師の質に大きな差がある | 諸経費(施設利用料など)がかかることが多い |
指導形態
家庭教師は完全に「1:1」のマンツーマンです。個別指導でもマンツーマンを選択することは可能ですが、「1:2」や「1:3以上」の選択肢もあります。
授業料
カリキュラム
上記の一覧表ではどちらも、「生徒の時間や苦手科目に合わせたオーダーメイド式」と記載しましたが、細かくは違いがあります。
一般的に、自分の学習内容に合わせられるかどうかで比較すると、 「家庭教師>個別指導」になります。個別指導といえども「塾」である以上、指導方針があります。家庭教師の方が、現状の学力や目標に応じて、臨機応変な勉強カリキュラムを組むことができる可能性があります。
家庭教師(例)
授業時間が90分間あるとして、最初の50分間は英語を教えてもらい、次の30分間は理科を教えてもらう。残りの10分間は学校の宿題で分からないところを教えてもらう。また、来週の同じ時間は国語を教えてもらう。このように、自分の都合に合わせて勉強を進めることも可能でしょう。ただし、自分の学習内容に合わせられるほど良いかと言われると、一概には言えません。
生徒ひとりひとりの状況によって、メリット、デメリットが変化するからです。融通性が高いほど、より自分の都合に合わせて学習することができますが、生徒の状況次第では、それがメリットになれば、デメリットにもなる場合があるからです。(このことについては後述します。)
学習環境
言うまでもありませんが、家庭教師は講師が家まで来てくれますので、慣れた自宅で学習できます。また、通学時間がかからないことも大きな違いです。
メリット・デメリット
家庭教師のメリットは、時間のロスが全くないことです。遅刻や勉強道具を忘れてしまったなど勉強の妨げとなる様々な障害が最初からありません。個別指導塾のメリットは、他の塾生がいることです。みんなが勉強しているので自分も頑張るなど多くの刺激を受けれたり、テストに出るところなど情報の共有もできます。
家庭教師のデメリットは、講師の質に大きな差がある事です。最高の講師かどうかを最初から見極めることは厳しいです。個別指導塾のデメリットは、諸経費や教材費などにかかる費用が家庭教師よりも高くなることです。
個別指導と家庭教師の共通点
個別指導と家庭教師では、共通点がいくつかありますので挙げておきます。
- マンツーマンで指導を受けることができる
- 生徒の習熟度に合わせて授業を受けることができる
- 苦手分野の克服や、特定教科のみ学びたい
- 分からないところが質問しやすい
- 講師の目が行き届きやすい
- 相性のよい講師を選ぶことができる
- 部活動などの時間に合わせて時間割を組むことができる
一概には言えませんが、上記のようになります。
共通点だけ見ると、家で学習するか、塾で学習するかの違いだけなのでは?と感じる方もいると思います。しかし実際のところは、そうではありません。いったい、どういった子が、どちらに向いているのか。そのことに次は触れていきます。
家庭教師に向く子供の特徴は?
学習習慣や勉強のしかたから、手取り足取り面倒を見てもらいたい
とにかく自宅学習の習慣を優先的につけたい。そんな場合は、家庭教師が向いている可能性があります。家庭での学習の一環として指導が行われますから、自然と自宅の机で勉強する習慣が身につきやすくなります。
確実に安全な環境で、周りからのストレスを受けずに学習したい
自宅なので、慣れた環境でリラックスして学習を進めることができます。夜に外出する必要もありませんので、事件・事故に合う恐れもありません。塾に通う場合とは違い、行き帰りの疲労もありません。また、塾に通う場合は、入室してから退出するまでの間、担当以外の先生や、通っている他の生徒と、必然的にすれ違ったりします。中には、そのこと自体をストレスに感じる子もいますので、家庭教師はそれを気にする必要もありません。
学校を休みがち、または不登校である
家庭教師独自のものとして、「不登校コース」を設置しているところが多くあります。学校にうまく通えていない状態で、塾に通うことは非常に困難です。また、不登校と言っても、学校に通えなくなってしまった理由は様々だと思います。デリケートな理由があることも多いでしょうから、精神面のフォローに長けた専門の講師が指導にあたります。
個別指導に向く子供の特徴は?
自宅では勉強に集中できない
慣れた環境でリラックスして学習を進めることができる。これは、家庭教師のメリットでした。ただ人によっては、それが勉強に集中しにくい環境になるということもあります。
[例]リラックスし過ぎて集中しにくい
自宅に置いてある物に気が向いてしまう。
(例えば、雑誌や漫画、ゲーム。自分の趣味に関連するもの)
自宅で集中できないという場合は、個別指導塾の方が効率的に勉強に集中できる可能性があります。
効率よく苦手科目を克服したい
特定の苦手科目がある場合は、個別指導塾では効率よく学習を進めることができます。特に、1:2の個別指導を選ぶと最適です。
[例]
- 数学だけ学校の授業についていけない
- 分からないところだけ質問したい
- 問題演習もしっかりこなしていきたい
- 授業料もできるだけ低コストで済ませたい
1:2の場合の一般的な授業の進め方は、片方の生徒を講師が指導している間、もう片方の生徒は問題演習を進めます。問題を解き終えると、講師がそこの指導に移ります。
この「問題演習の時間」も、講師がつきっきりで指導が必要かどうかを考えましょう。
→解き方を指導してもらう
→分からない部分を質問する
→次に、自分の力で問題を解いてみる
→その後、分からなかった問題を指導してもらう
これでうまく学習が進むようであれば、マンツーマンの家庭教師での指導は逆に非効率になりかねません。極端な話、問題を解いている間、講師はただいるだけで、その間も高額な授業料が発生する訳ですから。
→解き方を指導してもらう
→分からない部分を質問する
→次に、自分だけでは、問題にあたっていけない
→ノートの書き方や、途中式の書き方なども含め、手取り足取りじっくり指導が必要
このような場合が、家庭教師に向いていると言えます。
塾ならではのノウハウ、カリキュラムでどんどん学習したい
塾はそれぞれ独自の指導ノウハウを持っています。テキストやカリキュラムがしっかり定着していますので、自分に合う塾選びができると、効率的な成績アップが望めます。また、受験に関することなど、蓄積された豊富な情報がありますので、より適切な進路指導を受けられるでしょう。語弊のないように言っておくと、家庭教師が劣っているという意味ではありません。家庭教師の場合は、派遣された講師個人の指導力によりますので、当たり外れが大きい可能性があります。
家庭教師と個別指導塾の併用は有効なのか
ほとんどの場合は有効ではありません。そもそも個別指導塾は、塾生が家庭教師でも教わる前提でカリキュラムを作る事がありません。塾独自のシステムにのっとって個人に合わせて指導していきますので、その補填として家庭教師がうまくサポートしてくれる場合のみ効果が出ると思います。ただ個別指導を受けてまだ物足りないない、うまくいっていないとなれば、塾と相談して解決できることがほとんどと思います。
まとめ
個別指導と家庭教師は、共通点も多いので、どちらにするか悩むことも多いと思います。費用の問題もあると思いますが、まずは、子どもの現状の成績や性格をしっかり考慮した上で検討しましょう。また、どちらも無料体験を実施していることがほとんどですので、一度実際に体験して比較してみてもよいでしょう。少しでも個別指導と家庭教師の選び方の参考になれば幸いです。