受験情報
「公立高校受験について詳しく知りたい」「公立高校受験の対策をしたい」
などという、ご相談を生徒や親御さんからよく受けます。なぜなら親御さんだけでなく中学3年生である受験生本人でさえ“入試のことについて詳しく知らない”というケースも珍しくありません。そこで今回は、大阪府の公立高校受験について実施概要や私立入試受験との違い、対策方法までをしっかりと紹介していきます。
目次
■公立高校受験と私立高校受験の違いはなんですか?
- ①日程
- ②受験科目
- ③配点
- ④試験時間
- ⑤内申点の扱い
①日程(令和6年度:2024年度予定)
公立(特別入学者選抜) |
公立(一般入学者選抜) |
私立(2024年度の実施内容) |
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出願期間 |
2月14日(水)及び15日(木) ※音楽科のみ…2月6日(火)及び7日(水) |
3月4日(月)及び5日(火)及び6日(水) |
1月20日~1月31日※2 |
学力検査 | 2月20日(火) | 3月11日(月) | 2月10日(土)~11日(日) |
実技検査 |
2月21日(水) ※音楽科のみ…2月17日(土) |
なし | 2月10日(土)~2月11日(日) |
面接 | 2月21日(水)※1 |
なし ※通信制の課程のみあり 3月7日(木)8日(金)10日(日)のうち一日 |
2月10日(土)~11日(日) |
合格発表 | 2月29日(木) | 3月19日(火) | 2月11日(日)~13日(火)※3 |
※1,2,3 学校によって異なります。
●公立(特別入学者選抜)とは?
以下のような特定の学科を指します。
- 工業に関する学科 (建築デザイン科・インテリアデザイン科・プロダクトデザイン科・映像デザイン科・ビジュアルデザイン科・デザインシステム科)
- 美術科及び総合造形科
- 体育に関する学科
- 芸能文化科
- 音楽科
- 演劇科
- グローバル探究科
- 総合学科(エンパワメントスクール)※
- 多部制単位制Ⅰ部及びⅡ部(クリエイティブスクール)並びに昼夜間単位制
●公立(一般入学者選抜)とは?
いわゆる普通科を主とした、最も一般的なものを指します。
- 普通科(総合選択制及び単位制高等学校を含む)
- 商業に関する学科 ・グローバルビジネス科
- 農業に関する学科
- 工業に関する学科(特別選抜実施学科を除く)
- 情報科学科 ・英語科 ・国際教養科
- 国際文化科 ・グローバル科 ・国語科 ・理数科
- 総合科学科 ・サイエンス創造科 ・文理学科
- 福祉ボランティア科 ・食物文化科
- 総合学科(クリエイティブスクールを含み、エンパワメントスクールを除く)
※総合学科(エンパワメントスクール)とは?
「エンパワメント」とは、「生徒の力を引き出す」という意味です。
簡単に言えば、高校中退数を減らすために、特別なカリキュラムを組んだ学校です。
背景としては、学習のつまずきで高校を中退、不登校となる生徒が多いため、それを減少させるために設けられました。
よって、エンパワメントスクールでは、中学校の学び直しができるようカリキュラムが組まれています。
中学校では何らかの事情であまり通学できていなかった場合や、勉強に不安がある場合に検討の余地がある学科と言えます。
②受験科目
※私立・・・科目選択制の学校もあります。
(例)香ヶ丘リベルテ
国語が必須。数英理社から1科目選択。
③配点
④試験時間
※公立(一般選抜)
C問題…英語55分(筆記30分 + リスニング25分)
C問題…数学60分
⑤内申点の扱い
公立高校受験では、総合点(学力検査+内申点)に基づいて、受験生の合否を判定することになります。
内申点は、日々の学校生活の評価となります。例えば、学校の宿題を提出しているかどうかも評価の対象になります。
つまり、「宿題を提出しない=内申点が下がる=入試の点数が下がる」ことになります。
当然、入試の点数が下がれば下がるほど、合格の可能性も下がります。学力検査以前に、既に審査は始まっていると意識しましょう。
また、公立高校の場合、学力検査の配点と内申点の配点にかける倍率が学校により異なります。
下記のコラムで内申点の詳しい説明や学校別の倍率もチェック!
■公立と私立で問題傾向の違いはありますか?
問題傾向の違いはあります。
公立はA問題・B問題・C問題と3パターン(※)あり、各学校いずれかの問題を採択しています。
最も多いものはB問題です。
どの学校がどの問題パターンを採択しているかは公表されていますので、以下のコラムでもチェックしておきましょう。
※A問題・B問題・C問題とは?
問題の難易度を分類したものです。
【易しい】A(基礎的問題) < 【普通】B(標準的問題)、<【難しい】 C(発展的問題)となります。
問題傾向【公立高校編】
英語 | 長文読解は身近な対話文やレポート・スピーチ形式の題材が多い。英問英答、内容に合う語句、内容の日本語での記述説明、適語選択・補充、内容正誤がよく出題される。 英作文は、与えられたテーマについて30語程度で書くものが主。 リスニングは、英文を聞いて、あとに続く文、内容に合う絵・写真や語彙を選択する、英語の質問に合う答えを選択する問題が中心。 |
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数学 | 正負の計算、平方根、因数分解、1次・2次方程式が頻繁に出題されている。 関数は、1次関数・2次関数問わず毎年出題されている。 図形は、平面図形の基本、立体の表面積・体積、図形と証明、相似、三平方の定理が中心に出題されている。また、確率問題も毎年出題されている。 |
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国語 | 漢字・語句は、漢字の読み書き、語句の意味がほぼ毎年出題されている。長文読解は、要旨・主題、文章構成、文章理解がよく出題される。 記述問題では、内容や文脈を把握し、自分で文章を組み立てる能力が要求される。古文もほぼ毎年出題され、単語の意味をしっかり理解しておくことが必要。 作文は、160字~300字程度で出題されるので、時間配分に注意することが必要。 |
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理科 | 物理分野では、光と音、運動と力、電流のはたらき、エネルギーが中心に出題。表やグラフから思考力と計算力を問う問題が多い。 化学分野では、水溶液の性質、化学変化、水溶液とイオンに関する問題が中心。水溶液や化学変化では、計算問題が多く出題される。 生物分野では、植物・動物のなかまとそのつくりとはたらき、生物の成長と増え方、自然界のつり合いがよく出題される。 地学の分野では、地層・岩石、天気、天体に分けられる。実験や観察を元にした問題が出題されやすい。 |
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社会 | 地理の分野では、世界の国々、日本の地域構成がほぼ毎年出題されている。表やグラフからの読み取りが重要。 歴史の分野では、古代国家のおこりから武家政治の展開、中世、近世、近現代まで幅広く出題される。公民の分野では、日本の政治・経済が中心に出題されやすい。 |
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問題傾向【私立高校編】
私立高校は、各学校が独自で作成しているので千差万別です。必ず志望校の過去問を確認しましょう。
ある程度共通する傾向もありますので、参考にご紹介しますが、必ず志望校の過去問で傾向を確認しましょう。
英語 | 長文読解は、物語や身近な話題のほか、科学や歴史をテーマとする説明的文章が多い。 文法問題は、公立では長文読解に組み込まれていることが多いが、私立では独立した形で出題されやすい傾向にある。 適語補充、並べかえ問題が多い。また、公立ではほとんど出題されなくなった発音やアクセントがよく出題される。 |
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数学 | 公立と同じく、正負の計算、平方根、因数分解、1次・2次方程式等の計算問題は頻出。関数の問題も必ず出題されている。 1次関数と2次関数の複合問題が多い。交点の求め方や、面積問題に慣れておく必要がある。 図形は特に立体図形で構成されることが多い。体積・表面積、角度など、基礎から応用なで幅広く出題される |
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国語 | 漢字・語句は、長文問題の中によく出題される。難易度は比較的平易なものが多い。 長文読解は、説明的文章を読み設問に答える形で、言葉の意味を問う問題、記述問題がある。 自分で文章を組み立てる能力を問われる問題が多い。古文に関しては、単語の意味を理解しているかどうかに比重がおかれる傾向にある。 |
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理科 | 1年生の内容が出題されることも多く、植物はよく出題される。化学では気体や物質の区別のための実験を題材とした設問が多い。 2年生の内容では、化学反応式や化学変化する物質の質量の比に関する問題が出やすい。 また、電流はよく出題されるので、オームの法則などの公式は確実に使えるようにすることが重要。 3年生の内容は、生殖と遺伝、酸・アルカリとイオンは頻出問題。仕事とエネルギーの計算問題が、1年生の力と圧力内容と融合して出題されやすい。 |
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社会 | 公立高校に比べ、問題の分量が多い傾向にある。世界の地理と歴史の問題が多いことが特徴。 世界の国々の人口・農作物・鉱工業などの統計、日本との貿易に関する統計もよく出題される。 日本の歴史では、教科書の資料や歴史資料集をよく目を通しておいた方がよい。 時事問題もよく出題されるので、新聞やニュースをチェックしておくことも重要。 |
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■自己申告書ってなんですか?
自己申告書は、公立高校を受験する場合、願書とともに提出しなければいけません。
簡単に言えば、自己PRのための作文と思ってください。
合否に関係があるかどうかで言えば、関係あります。
案外、「とりあえず書いて出しとけば、それでいいだろう。」と軽く見られがちなのですが、
ボーダーライン上の合否は自己申告書によって決まる可能性がありますので、しっかりと書きましょう!
■副教科の点数は関係ありますか?
学力検査に副教科はありません。ただし、内申点として副教科の点数は関係してきます。音楽、美術、保健体育、技術家庭科の4教科も、しっかり内申点として加算されますので注意しましょう。
例えば、4科目オール3だと、副教科のみで見た場合の入試点数は120点加算されます。これがオール4だった場合、160点加算になります。(※倍率タイプIII 1.0倍の場合)
つまり、5科目(英数国理社)の成績が同等の生徒が2名いたとして、同じ高校を受験する場合、学力検査以前に、副教科の内申点だけで、既に40点もの点数差がありえることになります。
テストで40点もの差を埋めるとなった場合、相当難しいことは間違いありません。疎かにしないように取り組みましょう。
■何を勉強すればよいですか?
これについては、なによりもまず、基礎を固めないことには成績アップはありえません。
よくある失敗例が、受験では応用問題が出るからと言って、いきなり応用問題ばかりに取り組もうすることです。
特に、数学の難問に取り組もうとする子が多いように思いますが、それ以前に、
正負の計算や方程式でよく符号ミスをする
分数や少数の計算になるとミスが増える
上記に少しでも当てはまると感じた子は、言うまでもなくまず基礎を徹底すべきです。
また、特定の分野に限らず、
定期テストで、いつも何かしらケアレスミスが多い
これに当てはまる子も、まず基礎固めです。
そもそも解き方が分からない場合は言うまでもありませんが、解き方は分かるけどミスが多い、という子の割合はかなり多いです。
例えば定期テストで、「ケアレスミスで10点も減点された!これがなかったら80点だったのに!」と、悔しがる子は非常に多いです。
これに対しての本人の行動パターンは主に2つあります。
①ケアレスミスだから次は大丈夫。もう間違えないもん。
②ケアレスミスだけど、しっかりやり直しをして次からは間違えないようにしよう!
圧倒的に多いのは①タイプで、やり直しを疎かにしてしまうパターンです。
ケアレスミスのやり直し。
これは、基礎固めのための立派な勉強法です。しっかりとやり直しをしましょう。
語弊のないように言っておくと、ケアレスミスがほとんどなければ、基礎固めに取り組まなくて良いということではありません。
どれだけ高成績の場合であろうと、基礎固めは重要なものと捉えましょう。
■まとめ
公立高校受験は、予め日程が発表されています。
大きくは、公立(特別入試選抜)と公立(一般入試選抜)で日程が分かれていますので注意しましょう。
また、学力検査は2月または3月になりますが、内申点も加えられることを考えると、
日々の学校生活から選抜は始まっているという意識を持った方が良いです。
基本的な情報を把握した上で、公立高校受験を乗り越えましょう。