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近年は「高校受験は必須だ」と考えられている時代ですが、日本における高校への進学率について考えたことがある人はどれくらいいるでしょうか。今は“高卒”または“大卒”でないと好きな仕事に就きにくいといった場合があります。日本には未だ根強い学歴文化が残っており、学歴でその人を“測る”傾向のある会社もあるでしょう。今回は、高校への進学率についてと、各教育課程や卒業資格について詳しく紹介していきます。
目次
■高校への進学率について教えてください。
高校へ進学することは今や一般的であり、日本における高校への進学率は約97%あります。
歴史的な推移を見ますと、1950年前半で50%以下、1970年前半で約80%、1970年代半ばから90%を越え、
それ以降はほぼ横ばいで、現在は96~97%で推移し続けています。
文部科学省の発表によると、最も一般的な全日制の高校への進学率は、平成30年時点で96.3%。定時制・通信制を含めると98.8%になります。
【文部科学省】
高等学校の現状について
進学先の選び方については、下記コラムもご参考下さい。
■高校に通わなくても高卒資格は取れますか?
結論から言うと、取れません。
通常、高卒資格を取得できる教育課程は以下の3つです。
全日制課程
平日の昼間に授業を行う過程のこと。
定時制課程
夜間などの特別な時間帯に授業を行う過程のこと。
通信制課程
通信による教育を行う過程のこと。(※詳しくは後述)
高校へ進学というと、平日の昼間に通う全日制高校が一般的です。
もし全日制に通うことができない場合は、定時制や通信制を選択することになります。
高校自体へ進学していない層が約1.7%いますが、この人たちは中学卒業後、もう2度と高校卒業資格を取得できないのでしょうか?
答えはノーです。
定時制や通信制の学校は、中学校を卒業していれば、年齢を問わず入学資格を与えられることがほとんどです。
■高等学校卒業程度認定試験について
この資格を取得すれば、学校に通わなくても高卒資格が取得できるのでは?と疑問に思われやすいものがあります。
それが、「高等学校卒業程度認定試験」です。
文部科学省が実施しており、主に8月と11月の年2回あります。
項目 | 第1回試験 | 第2回試験 |
---|---|---|
願書配布開始 | 4月4日(水) | 7月20日(金) |
出願期間 | 4月20日(金) – 5月9日(水) | 8月30日(木) – 9月13日(木) |
試験日 | 8月2日(木)、8月3日(木) | 11月10日(土)、11月11日(日) |
結果通知 | 8月28日(火)以降 | 12月6日(木)以降 |
これは、高等学校を卒業していない場合、高等学校を卒業した人と同等以上の学力があるかどうかを認定するための試験です。
試験に合格した場合は、大学、短大、専門学校の受験資格が与えられます。また、就職、資格試験等に活用 することができます。
気をつけなければいけないことは、高等学校卒業程度認定試験に合格しても、最終学歴は高等学校卒業にはなりません。
つまり、大学、短大、専門学校に進学するのであれば良いですが、そうでない場合、活用できる機会があまりないと言えます。
就職にも活用できるようですが、一般社会において、高卒と同等に扱ってもらえる企業は現実的に少ないのではないかと思います。
■通信制高校について教えてください。
通信制高校とは、通信による教育を行う過程のことを指します。
日本には学校教育法というものがあり、法律上、高校を卒業するためには最低限以下の条件を満たす必要があります。
- 高等学校に3年以上在籍すること
- 合計74単位以上の単位を取得すること
つまり、通信制高校であっても、修業年数は全日制と変わることはありません。
■合計74単位以上の単位ってどういうことですか?
通信制高校と全日制・定時制高校との大きな違いとして、単位制の導入が挙げられます。一般的に、全日制・定時制は学年制を採用しています。
学年制:全日制・定時制高校
学年が、1年生・2年生・3年生とあり、年間の時間割が既に決められていて、それに沿って授業を受けるシステムです。
(※自分で授業を選択して受講できる学校もあります)
最も一般的で、ごく普通に学校に通うことができていれば、単位のことは全く気にしなくても、卒業できます。
ただ、実際には単位というものがもちろん存在しています。
1単位取るには、まず35時間の授業(週に1時間を1年間)の「3分の2」または、「4分の3」以上受ける必要があります。
次に、定期テストで一定の基準点(赤点)を超えていることが条件です。
ただし、卒業認定のために必要な単位数は、各学校により決められており、必ずしも74単位ではなく、90単位になることもあるようです。
また、1年間の内にある一定以上の単位を落としてしまうと、留年してしまう、というシステムがあります。
学校により、何単位落とすと留年になるかは違います。
1単位でも落とせば留年の場合もあるので、注意しましょう。
単位制:通信制高校
単位制とは、3年間の間に卒業するのに必要な単位を取得していれば卒業できるシステムです。実質的に学年という枠のしばりがありません。
そのため、学年制では1年生で10単元落とせば留年だったとしても、単位制では留年という扱いにはなりません。
3年間在籍し、その間に74単位以上が取れればよいのです。
【単位制高校の卒業条件】
- 修業年数が3年間以上
- 科目の修得が74単位以上
- 特別活動が30単位以上
①修業年数が3年間以上
全日制・定時制・通信制の全てにおいて共通です。
②科目の修得が74単位以上
既に述べた通り、必ず74単位取得することが必要です。
③特別活動が30単位以上
特別活動とは、ホームルームや儀式行事等への参加を指します。
(例)
入学式、卒業式
遠足、修学旅行
体育祭、クラブ活動
通信制高校は基本的に単位制を採用していますので、上記の卒業条件を満たすことが必要となります。
これを見てお気づきの方もおられると思いますが、通信制高校と言っても、学校に通わなくてもよいということはありません。
特別活動への参加が必須だからです。またそれ以外にも、授業の単位取得のために、学校へ通う日も必要です。
そこで次は、通信制高校の通学パターンをご紹介していきます。
■通信制高校の通学パターンってどんなのですか?
通信制高校の基本は、自分で学ぶ在宅学習です。
だからと言って、自宅だけの学習で卒業資格が得られる訳ではありません。
学校へ通学することも必要であり、そのことをスクーリングと呼びます。簡単に言えば、登校日のことです。
目安として、年間で約20日間程度のスクーリングを実施している学校が多いようです。
学校により、様々な通学カリキュラムがありますので、主なものをご紹介します。
◆通学重視タイプ(週2~5回程度の登校)
学校へ通う日が多いので、あまり全日制高校と変わりません。
訳あって通信制高校に入学するけれど、「勉強を直接しっかり教えてもらいたい」「学校生活を楽しみたい」「友達と学びたい」という人に向いています。
◆通信重視タイプ(月2~4回程度の登校)
月数回のみの登校なので、それ以外は自分の時間として利用できます。
「スポーツや芸能などのプロを目指して活動している」「アルバイトや習いごとをしたい」という人に向いています。
◆集中スクーリングタイプ(年1回~7回程度の登校)
ある時期の特定の期間だけ登校するパターンです。
ただし、年間に必要なスクーリング時間を集中させるため、泊りがけでの実施が一般的なようです。
例えば、ルネサンス大阪高等学校では、2泊3日(年3回)のスクーリングを実施しています。
自然豊かな特定の施設で行われることが多いようですので、体験学習などを楽しみたいという人にも向いています。
このように、通信制と言ってもいろいろな通学方法があります。学校によって特色が異なりますので、事前に調べるようにしてください。
■通信制高校で、授業の単位を取ることは難しいの?
通信制高校での単位取得の一般的な手順は、以下の3つです。
- レポート提出
- スクーリング
- テスト
①レポート提出
レポート提出とは、簡単に言えば宿題です。
レポートと言っても、論文を書くというものではなく、科目によって内容は様々なようですが、プリントや問題集が主となります。
難易度は、教科書を調べれば分かるものが多いようです。
②スクーリング
既に述べましたが、定められた日数分、学校へ登校することが必須です。
③テスト
単位を認定するためのテストです。一般的に、前期・後期の2学期制を採用している学校が多く、7月頃と1月頃の年2回あります。
■枚方から通える定時制高校はどこですか?
枚方市内に定時制を設置している高校はありません。
よって大阪府内から探すことになりますが、枚方から一番近い学校は、寝屋川高校です。
京阪電車で枚方市駅から寝屋川市駅まで準急で約13分ほどです。学校も駅から徒歩5分程度の距離あります。
次に、中央高校です。京阪電車で枚方市駅から天満橋まで特急で約20分。駅から徒歩5分程度です。
定時制がある大阪府内の高校一覧は以下になります。
【北大阪】
大阪府立春日丘高等学校
大阪府立桜塚高等学校
大阪府立箕面東高等学校(総合学科)
大阪府立茨木工科高等学校(工業科)
【大阪市内】
大阪市立中央高等学校
大阪府立桃谷高等学校
大阪府立大手前高等学校
大阪府立成城高等学校
大阪市立都島第二工業高等学校
大阪府立今宮工科高等学校
大阪府立西野田工科高等学校
大阪市立第二工芸高等学校(インテリア科)(クラフト科)(デザイン科)
【東部大阪】
【泉州】
大阪府立三国丘高等学校
大阪府立和泉総合高等学校
岸和田市立産業高等学校
大阪府立堺工科高等学校
大阪府立佐野工科高等学校
堺市立堺高等学校(工業科)
【南河内】
■まとめ
高校進学の方法は、このように全日制・定時制・通信制の3通りあります。
全日制が最も一般的であるため、定時制・通信制のことはあまり世間に認知されていないように思います。
しかし、高校資格が取得できるということに変わりはありません。
選択肢の1つとして、知っておいて損はありませんので、参考にしてみてください。