勉強の仕方アドバイス
「気付けば受験まであと半年…!」「どう過ごして勉強するべき?」
など、進路の分岐点となる高校受験まであと半年ともなると、焦る生徒が出てくるころです。この時期になっても受験生(と保護者様)には不安や悩みは尽きず、残りの半年をどう過ごすのが正解なのか日々悩んでいる人も少なくないでしょう。塾に通っていれば、ある程度の勉強量は確保できますが、“塾以外でどれだけ勉強するか”が合否を分けるケースが多いことも事実。そこで今回は「高校受験まであと半年」という人に向けて以下の5点を紹介します。
- 学校の教科書を使ったオススメ勉強法!
- 今まで使っていた問題集ではダメ?
- 不得意分野の問題に取り組むべき?
- 塾のテキストを見返すのは効果的?
- 赤本はいつごろから取り組むべき?
受験まで不安な日々を送っているひとは、ぜひ参考にしてください。
学校の教科書を使ったオススメ勉強法!
高校受験半年前にオススメしたい問題集は「中学校の教科書」です。(問題集ではないですが。)
意外に思われるかも知れませんが、公立入試に、中学校の教科書レベル以上の問題はでません。
ですが、 「…えー?…教科書…?」 と、多くの受験生は思うでしょう。
…そうです。受験生の多くは、「中学校の教科書」を受験勉強に使おうとは思わないものです。 その理由はおそらく以下の二つ。
1.教科書は地味でやる気が出ないから
→やはり、市販の問題集の方が、「楽しそう」ですからね…。
2.教科書は簡単で、やっても意味がない気がするから
→これは、思い込みです。要は、使い方です。
つまり言いたいのは、「教科書って、実はすごく利用価値があるんですよ!」ということ。
教科書を使った勉強法を、英語・数学・国語の科目別でご紹介します。
市販の問題集を買うと高いですが、学校の教科書なら新たに買う必要もありません!
【英語】長文暗記で定期テスト対策も同時にクリア!おすすめ度…★★★★☆
高校受験半年前=9月~10月ごろ。まだ定期テストが数回残っています。
特に公立志望の場合は、定期テストの結果は「内申点」に影響し、受験の合否に絡んできます。
中3英語の教科書構成は、巻末になるにつれ「長めの物語文」が多くなります。 そこでおすすめなのが、教科書本文暗記。
英語の教科書本文の“日本語訳”を用意し、それを“英訳”できるようにするだけです。
※日本語訳の用意ってどうするの?
英語の教科書の日本語訳は、どんな方法で用意しても構いません。 学校によってはプリントで配布されるケースもあり、その場合はそれを使いましょう。
もし用意が難しい場合は、ネットから拾うのも一つの手です。→中学校の英語教科書和訳
英語の教科書というものは非常に考えて作られています。
中3の教科書には、中1・2で習った文法・単語・会話表現などが、まんべんなくちりばめられているのです。
つまり、中3の英語教科書を暗記すれば、定期テストの対策はもちろん、3年間の英語の復習もバッチリ出来てしまいます。
これは本当におすすめの勉強法です!!
入試まで忘れない!暗記方法はコチラも参考に⇒これで半年後も忘れない!受験で活かせる暗記のコツを伝授します。
【数学】巻末は良問のデパート、最短距離で復習可!おすすめ度…★★★★★
数学の勉強において重要なこと、それは“自分の課題の把握”です。(…まぁ、どの科目についても言えることですが。)
数学の教科書には、基本問題・章末問題・巻末問題がついています。 これが素晴らしい。
基礎から応用まで、「おさえておきたい問題」ばかりの、良問揃いです。
特に巻末問題は、1年間で習ったことが数ページで綺麗にまとまっています。
広範囲を短時間で全て触ることが出来るのが、数学の教科書・巻末問題の最大のメリット。
一気に1年間の範囲を解くことで、自分の得意・不得意がハッキリします。
さらに間違えた問題が、「教科書のどのページの範囲か」も記載がある為、その場で戻って、学習し直すこともできます。
章末問題と組み合わせて、効率的な復習が可能です!
例えばこんな風に…↓
「広範囲を短時間で全て触ることが出来る」のが、最大のメリットです。
後述しますが、受験3ヶ月前からは赤本(過去問)を集中的に取り組むのが理想的です。
それまで(高校受験半年前を目安)に、自身の強みと弱みを把握しましょう!!
【国語】今さら読書なんて出来ない…、という人に!おすすめ度…★★★☆☆
「国語力を身に付けたいなら、読書をすべき」
…こんなアドバイスは、受験を3ヶ月後に控えた受験生には、響きません。
そこでおすすめなのが、本の代わりに国語の教科書を読むことです。
そもそも、文章の読み方は大きく
①「初めて触れる文章」の読み方 と ②「内容を知っている文章」の読み方 の二つに分類することができます。
受験生は、「初めて読む文章を、読み取ることができるかどうかが大事だ」と思いがちです。
つまり上記の①を重視しています。入試問題は初見の文章なので、当然の思考でしょう。
ですが、段階として、もっと基礎的な動きが必要である可能性もあります。
それは言い換えると、“文章を深く読む能力”自体が低過ぎる可能性です。
“文章を深く読む能力”が低過ぎると、次々に新しい文章を読んでも、
「結局、どの文章の意味もよくわからない」という状態になり、学習効果があまり得られないこともあるのです。
“文章を深く読む能力”の有無を判断するのは難しいですが、国語の定期テストで読解問題を半分くらい落としているなら、危険です。
その場合、実は「内容を知っている文章」を深く読む練習の方が有益です。
つまり上記の②の読み方です。具体的な流れは以下の通り↓
この読み方なら、いわゆる“文章を深く読む能力”が無くても、深く読むという“行為”自体には、慣れていきます。
「この心情を表現する時には、こういった表現が使われるのだな」 とか 「筆者が何かを主張する時には、こういう文章の構成になるのだな」
といった、具体的な読解パターンが蓄積されるということです。
受験半年前ともなれば、いわゆる危機感による意識向上が起きているはず。
今まで国語の教科書をテキトーに読んできたのなら、特におすすめの勉強法です!
今まで使っていた問題集ではダメ?
多くの(本当に多くの)保護者様から聞くお話に、
「子どもに問題集を何度か買ったが、ほとんどやらないままになっています…」 というお嘆きがあります。
また、別にやっていないわけでは無く、これまでのテスト勉強などで、ある程度活用してきた 問題集がご家庭にある可能性もあるでしょう。
人によっては、普段から習慣的に取り組んできた、いわば「使い古した感」のある問題集が 何冊かある場合も、あるかも知れません。
そこで「今まで使っていた問題集ではダメなのか?」について、ご紹介します。
ここでも、高校受験まであと3ヶ月という目線で考えてみます。
「今まで使っていた問題集ではダメ?」
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- ※オススメの参考書も知りたい!という方はコチラ
判断ステップ1 … 繰り返し使える状態か?
判断ステップ2 … レベルは合っているか?
判断ステップ3 … やりきっているか?
ステップ1:繰り返し使える状態か?
そもそも論ですが、「問題集に直接書き込んでしまっていないか」ということです。
問題集は、「書き込まない」が基本。それは繰り返し使うためです。
上記のような問題で、もし補助線が赤ペンで書き込まれてしまっていたら、アウトです。
シャーペンで書かれていたら、跡形もなく、綺麗に消せるのかどうか…、です。
他にも、英語の長文読解で『本文の内容と適した文章を以下から3つ選べ』などで、
消去法の跡が明らかに残ってしまっていたりするのも、繰り返し使える状態ではないと言えます。
ステップ2:レベルは合っているか?
高校受験3ヶ月前であれば、志望校は9割~10割、確定しているでしょう。つまりゴールがはっきりしている状態のはずです。
今、家にある問題集が、自分のレベルに合っているのかどうかは意識すべきです。ここで強調しておきたいことは、以下の3つです。
1.自分のレベルと問題集のレベルを自己判断しない
⇒志望校のレベル、自分のレベル、問題集のレベル、それら3つを的確に捉えることは、簡単ではありません。
また、噂や自分への過信など、とかく中学生は誤ったイメージを持ちやすいものです。学校の先生、塾の先生などに判断を仰ぎましょう。
2.難し過ぎる問題集をやるのは絶対にNG(6~7割正解できる問題集がベター)
⇒「難しい問題集をやる」☞「成績が上がる」…これは、中学生がよく描く妄想です。
難しい問題=自分が解けない問題。その克服は楽ではありません。
一度理解してはまた間違えて…、という地道な反復を繰り返す茨の道。レベルの自己判断は止めましょう。
3.分厚過ぎる問題集はキケン(取捨選択の指示がもらえるなら可)
⇒ほぼ繰り返しになりますが、自分がどれだけの勉強がこなせるか、そのレベルについても安易な自己判断は禁物です。
問題集は「繰り返し」が原則ですから分厚い問題集を無計画に取り組んでも、全て終えるのに必死になるだけです。3ヶ月はあっと言う間です。
ステップ3:やりきっているか?
その問題集に「利用価値が残っているか」です。
ある意味、今まで全く手を付けてこなかったのであれば、考える必要はありません。
その問題集には「利用価値しか残っていない」ので。ややこしいのは、いままである程度(もしくはかなり)やり込んできた問題集です。
「この問題集、かなりやったし、新しいやつを買った方がいいかな…?」
そういった考えが出てきて当然です。以下の流れで判断しましょう。
不得意分野の問題に取り組むべき?
勉強において、「苦手なものこそ頑張らねば」という思考は、間違ってはいません。 事実、点数の低いものほど“伸びしろ”は多いです。
ただ、高校受験まで3ヶ月という時期も踏まえ、科目の優先順位は冷静に考えるべきです。
そもそも日本人は、「苦手を克服」することに価値を見出しますが、欧米人は「得意を活かす」ことに意識が向くそうで、
両者の考えは真逆です。
つまり、勉強方法に、絶対的な正解はないのです。
そこで、まずこちらをお読みください→3ヶ月前からの高校受験対策
高校受験まで3ヶ月間の“科目の優先順位”を決めるというコラムです。必読!
ザックリまとめますと、3ヶ月前からの高校受験対策は2つの闘い方があるということです。
1つ目は、「得意な科目」を中心に勉強する。(基礎が固まっているので伸びやすい。)
2つ目は、「伸びやすい科目」を中心に勉強する。(国語<英語<数学<理科<社会である。)
まずは上記コラムを読んで、“科目の優先順位”を決めましょう。
今回は高校受験3ヶ月前からの問題集の使い方ですので、上記内容と絡めた問題集の使い方… 名付けて、“3・3・2・2・1”を紹介します!
例えば勉強の優先順位を 社会>理科>英語>数学>国語 と設定した場合、
問題集の反復回数を(3周)(3周)(2周)(2周)(1周)と計画する作戦です。
コツは、各科目の1周の時間的目安を揃えること。
そうすれば、勉強量の比率も3:3:2:2:1になり、優先順位通りの方針で勉強ができます。
例えば[週6日、のべ自学習時間が33時間]という受験生なら、
社会・理科…9時間(1日90分)英語・数学…6時間(1日60分)国語…3時間(1日30分)
このように、1週間で各科目に割くべき勉強時間がわかります。
この時間をもとに、問題集の1周の定義(どの程度網羅するか)を決めるのも良いでしょう。
「えーっと、自分の場合は…??」と言う人は、この式を使ってください!
(1週間のべ勉強時間)÷11×3÷7 = 優先順位1位と2位の勉強時間(1日あたり) |
(1週間のべ勉強時間)÷11×2÷7 = 優先順位3位と4位の勉強時間(1日あたり) |
(1週間のべ勉強時間)÷11×1÷7 = 優先順位5位の勉強時間(1日あたり) |
しっかりした方針を持たなければ、いくら良い問題集を持っていても宝の持ち腐れです。
科目の優先順位決定からの3・3・2・2・1、是非実践してください!
塾のテキストを見返すのは効果的?
塾に通っていれば、習っている科目のテキストを持っているはずですね。
高校受験が近づいた時、塾のテキストを見返すのは効果があるのでしょうか。
塾によってテキストは違いますし、同じでも使用法は全然違ったりします。ですので、まずは判断ステップに立ち返りましょう。
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- 判断ステップ1 … 繰り返し使える状態か?
- 判断ステップ2 … レベルは合っているか?
- 判断ステップ3 … やりきっているか?
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先ほどと全く同じ判断基準で大丈夫です。
むしろ、塾のテキストのことは塾の先生が一番解っていますから、 と、聞いてみましょう。何らかの方針を教えてくれるはずです。
一点、補足することがあるとすれば、「塾の自習室をどれだけ利用するか」ということが、問題集の選び方に関係しま
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- 自分の通う塾に、自習室がありますか?
- 自習室は、基本的にいつでも質問ができる環境ですか?
- 受験勉強は、主に塾の自習室でする予定ですか?
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上記3点全てがYESなのであれば、「塾のテキストで勉強した方が良い可能性」があります。
なぜなら、塾の先生は塾のテキストに精通しているからです。
テキストの使い方や特性を知っている先生から勉強のアドバイスをもらうのは効果的です。
もちろん、塾外(市販)の問題集で質問をして、先生が「わからない」ということはそれほど多くはないと思います。
ただ、やはり先生も人間であり、各人のスキルに差があることは事実。塾のテキストなら、そういった面でも安心です。
※ちなみにメビウスで使うテキストは…スプリックスのフォレスタシリーズ
赤本はいつごろから取り組むべき?
高校受験の為に最も重要な問題集と言ってよいであろう赤本。赤本は、12月に入ってから取り組むのが良いでしょう。
こちらのコラムをお読みください。→赤本の使い方マニュアル
赤本(過去問)を取り組むタイミングは、『中学内容を9割以上習い終わってから』です。
「じゃ、塾で先に中学内容が終わっていたら、10月からでも赤本を解いていいのかな…?」
という疑問を持つ人もいるかも知れません。
ダメではありません。 ただ、もったいないと思います。
10月に赤本を解くと、結局間違いが多く復習すべきところがボロボロと出てくるでしょう。
戻って復習して、そして赤本をリベンジ。それでも良いのですが…。
どうせそうなるなら、受験半年前から12月までは、復習を詰めて詰めて、
赤本をできるだけ間違えない準備をした方が、スムーズではないでしょうか。
赤本は間違えてもやり直せばいいですが、入試は“初見の問題を一発で解く力”が必要。
焦らず、12月までに“初見の問題を一発で解く力”を伸ばすことを意識すべきかと思います。
ちなみにメビウスの受験生も、12月までは基礎を固めることに専念し、満を持して赤本に取り掛かります。
実は、赤本を全て(収録されている過去5年分)解き終えるのに、本来それほど日数は必要ありません。
集中して取り組めば、2週間から3週間あれば十分です。
ただ、メビウスでは受験生に「赤本の使い方」を指導しており、1年分解くごとに“やり直し”と“解き直し”を徹底的にさせています。
ただ解くのではなく、“やり直し”と“解き直し”をきっちりとする!
その為の時間としても、赤本は12月くらいから取り掛かるのがベターだとメビウスでは考えています。
まとめ
「人は、いつか必ず死ぬということを思い知らなければ、生きているということを実感することもできない」―とは、哲学者ハイデガーの言葉。
だれしも、“終わり”を意識することで“今、やらねば”という気持ちが湧くものです。
「高校受験半年前」このフレーズが受験生に与える影響も、同じではないでしょうか。
なかなか問題集に手が伸びなかった受験生も、半年という近い未来には“見通せる感”を感じるものです。
そしてその時、初めて行動に変化が起きることもあるのです。短いようで長い、高校受験前の6ヵ月。
このコラムが受験生の「焦りと不安」を「意欲」に変換するキッカケになればと思っています。