勉強の仕方アドバイス
「入試に出た過去の問題集は必要?」「過去問やりきったから大丈夫」
などと、過去の問題集に関して色々な考え方をもつ人がいるでしょう。入試が近づいてくると、いよいよ本番に向けて過去の試験問題に取りかかることになります。志望校に合格するためには、過去の試験問題を解くことは欠かせません。使い方次第では本番直前の対策で点数をあげることも可能です。そこで今回は、過去の問題集を効率よく使う方法を紹介していきます。
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目次
志望校の過去の試験問題を解くことは必要ですか?
たまに生徒から「過去問、買った方がいい??」との質問をいただくことがあるのですが、「絶対に買った方が良いよ!」とお答えしています。
なぜなら、過去の試験問題は最後の仕上げとして欠かすことができないものだからです。勉強の基本は、基礎をしっかりと固めることですが、入試本番で実力を発揮するためには実戦に慣れておく必要があります。
野球に例えるなら、キャッチボールは基本でありとても大切な練習ですが、キャッチボールだけやっていても本番の試合で実力を発揮することはできません。練習試合をして、実戦形式の中で実力を発揮する経験も大切です。
このことは受験においても同じ。本番で実力を発揮するためには、実戦形式での練習が必要です。これに最適なのが過去の試験問題を解くことなのです。
過去の試験問題を解いた方がいい理由
過去の試験問題を解く目的は大きくわけて3つあります。
- 実戦形式に慣れるため
- 出題傾向を知るため
- 自分の実力を知って対策をとるため
1.実戦形式に慣れるため
これについては、上で述べたとおりです。過去の試験問題を解くことで、実戦の中で自分の実力を100%発揮する練習になります。
2.出題傾向を知るため
過去5年分の試験問題を解くと「あれ?この問題パターンなんか見たことある!」とか「資料から読み取るタイプの問題が多いなぁ」といった、出題傾向が見えてきます。出題傾向が分かれば、対策を取ることができます。例えば、「毎年Yes/Noで答える疑問文の問題が出ているから、Yes/No疑問文への答え方を勉強しておこう!」といった具合です。英語に限らず、どの科目においても出題傾向はあるので、過去問を解いて出題傾向をつかみましょう。
3.自分の実力を知って対策をとるため
これが過去の入試問題を解く上で、もっとも大きな目的です。実戦問題を解くことで「今、自分はどの程度の実力なのか?」がハッキリとわかります。
「時間が足りなかった・・」
「ケアレスミスが多かった・・」
「電気の分野の問題が全然できなかった・・」
現時点での実力に応じて課題が浮かび上がってくると思います。課題がハッキリしたら、解決するための対策を考えましょう。
「時間が足りなかったから、時間配分に気を付けよう」
「ケアレスミスが多かったから、途中式の書き方を工夫しよう」
「電気の分野が全然ダメだったから、もう一度基礎からやり直そう」
実戦練習で見つかった課題を本番までに解決することこそ、志望校に合格するための最後の仕上げになるのです。
過去問を解く時期はありますか?
ひとつの目安としては12月後半です。
あまり早くから過去の試験問題に取りかかっても、習っていない分野が出題されていたり、そもそも基礎が固まっていなかったりして、「解いたけどさっぱりわからなくて意味が無かったなぁ…」となってしまいます。反対に、あまり慎重になりすぎて解く時期が遅くなってしまうと、実戦慣れできなかったり、実戦でみつかった課題を解消できないまま本番に向かうことになりかねません。
12月後半にもなれば、中学校で習う範囲の9割以上はすでに学校で習っています。この時期を目安に過去の試験問題に取りかかるのが良いと思います。
過去の試験問題はどれを選んだらよいですか?
過去の試験問題は3~5年分が一冊にまとめられた本が購入できますし、最近ではインターネット上に公開されています。
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ただ、インターネット上に公開されているものは解説がありません。また、国語の問題は著作権上問題が削除されている部分が多いです。
入試の試験問題は難解なので、解説つきの本を購入するのが良いと思います。解説つきの本はいくつかの出版社から発売されているため、どれを選んだら良いか迷うかもしれません。次の2点を目安に選んでみてください。
- 解説が詳しいどうか
- 国語の問題が省略されていないか
「1.解説が詳しいどうか」については、当たり前の話ですが、解説が詳しい方がいいと思います。好みの問題もあるので、実際に書店で手に取ってみて、自分に合うものを選びましょう。
「2.国語の問題が省略されていないか」については、問題文に使用している文章の著作権の関係で、省略されている場合があります。購入したあとで「国語の問題がない・・」とならないように、買う前に忘れずにチェックしてくださいね。
過去の試験問題を活用する際に注意すべき5つのポイント
志望校に合格するための最後の仕上げとして、過去の試験問題を活用する際に、注意すべき5つのポイントを以下に挙げます。
- 「過去問ノート」をつくる
- 試験時間どおりに時間を計って解く
- 「得点しなくてもよい問題」を見極める練習をする
- 間違えた問題はやり直しをする
- 最低でも過去5年分を2回以上解く
「過去問ノート」をつくる
過去の試験問題は直接書き込んではいけません。「過去問ノート」を1冊用意して、そのノートに解答を書くようにしてください。ノートに書く理由は「直接書き込んでしまうと繰り返しできなくなってしまうから」というだけではありません。
1冊のノートに解答をまとめておくことで、後から見返したときに自分の「間違いパターン」をつかむことが可能になるからです。間違えた問題についてのポイントをノートにメモしたりしておけば、自分専用の参考書にもなります。
入試前は時間との勝負になるので、効率がとても大切。自分の苦手なところをノートにまとめておけば、それを見るだけで復習ができ、効率よく勉強ができるのです。
試験時間どおりに時間を計って解く
入試問題は時間との勝負です。限られた時間内でいかに正しく解答できるか?という力を試されているわけです。そこで、過去の試験問題を解くときは、時間を計って試験時間内に解く練習をしましょう。
時間を計って解く練習をしないまま本番を迎えると、本番で時間が足りないという事態になってしまいかねません。過去の試験問題を解く目的のひとつは「実戦形式に慣れる」ことなので、本番と同じ試験時間で解くようにしてください。
「得点しなくてもよい問題」を見極める練習をする
志望校に合格するためには、必ずしもすべての問題を解く必要はありません。志望校や志望するコースによって、合格に必要な得点がだいたい決まっています。いわゆる合格ラインですね。
志望校の合格ラインによっては「得点すべき問題」と「得点しなくてもよい問題」があります。入試では「この問題は得点すべき問題なのかどうか」を見極めながら解答していく必要があります。
見極めるのは難しそうに見えるかもしれませんが、過去5年分の問題を解いていくうちに、だいたい分かってくるものです。過去の入試問題を解くときは「得点すべき問題かどうか」を見極める練習をしましょう。
間違えた問題は繰り返し復習する
当たり前の話かもしれませんが、間違えた問題は必ずやり直しをしましょう。間違えた問題を正解できるようにしなければ、点数は上がりません。
やり直しをするときによくあるのが、間違えた答えを書き直して終わり、というやり方。これではまったくやり直しをする意味がありません。「やり直しをする」とは「自分でできるようにする」という意味です。間違えた問題を理解し、自分で解けるようにしてこそやり直しをする意味があります。
ただし、この時も「得点しなくてもよい問題」については、やり直しをしなくても良いです。「得点しなくてもよい問題」はだいたい難しい問題になっており、理解するのに時間がかかってしまう場合が多いためです。入試本番までの時間には限りがあるので、まずは「得点すべき問題」を確実に得点できるようにすることを優先しましょう。
最低でも過去5年分を2回以上解く
少なくとも過去5年分の試験問題を2回以上解きましょう。5年分を解く理由は、試験問題の出題傾向をつかむためです。5年分解けば「だいたいこんなタイプの問題が出るな」ということが見えてきます。
2回以上解く理由は、理想的な解答ペースをつかむためです。おそらく1回目の時は、時間がなくてろくに問題を読まずに解答したり、反対に分からない問題が多すぎて時間があまってしまったり、うまくいかないことが多いと思います。
1回解いただけで終わってしまうと、うまくいかなかったときの解答ペースしか経験できません。1回目を解き終えたあとは、間違えた問題のやり直しをしますよね。やり直しをすれば、解けなかった問題が解けるようになっているハズです。
できるようになってから、もう一度本番と同じ時間を計って、同じ問題を解いてみてください。前回よりも理想的なペースで解答できるようになっているハズです。そのペースを覚えておいて、本番で活かしましょう。
志望校以外の問題を解くことも必要ですか?
志望校以外の問題を解くことは、優先度としてそこまで高くありません。まずは志望校の問題を解いてみて、そこで見つかった課題を解決することが重要だからです。
もしその課題がすべて解決できたのならば、志望校以外のいろんな問題を解いてみてもいいと思います。しかし、課題を解決する前にいろいろな問題に取りかかっても、結局同じ課題にぶつかってしまいます。
まずは志望校の問題にしっかり取り組んで、そこで見つかった課題の解決を優先させましょう。
教科ごとに過去問の使い方は変わりますか?
はい。変わります。ただし、全ての教科に言えるのは過去問を解くということはとても大事だということです。過去問を解くことにより自分の弱点がわかり、課題を克服することができます。また、志望校の傾向がわかり、対策をすることもできます。それを踏まえた上で、教科ごとに使い方をご紹介していきます。
【国語】
定期テストと入試問題で大きく変わるのが国語です。なぜなら、定期テストでは学校の先生が授業中に解説した教科書の文章が出題されますが、入試問題は初めて目にする、しかも解説されていない文章が出題されるからです。何回も読んだ文章と、初見の文章では当然後者の方が難しく、読み解くのに時間がかかります。そのため、まずは過去問を通じて文章を読むことに慣れましょう。丁寧に素早く読む練習を過去問を使って行います。
【数学】
入試問題は大問1に計算問題が出題される場合が多いです。ここをしっかり解けるかどうかで点数は大きく変わります。そのため、過去問を使って計算問題がミスなく解けるかどうかを確認しましょう。大丈夫だと思っていても公式を忘れているかも知れません。また、計算問題以外の大問では小問がいくつかありますが、小問1は基本問題が多く、それ以後は1つ前の小問の考え方・答えを使って解いていくものがあります。つまり、前の問題が解けないと、次の問題が解けないわけです。過去問を使って、基本問題は解けるのか、その次の応用問題はどうかなど、自分の現状を知り受験勉強に役立てることができます。
【英語】
定期テストではあまり出題されない長文問題が多く出題されます。過去問で自分が受験する学校がどれぐらいの量の長文を出題するのかを知り、問題を実際に解くことによってその量・形式に慣れていくことができます。また、問題を解いていく過程で忘れていた文法や知らない単語も目にするはずです。それらもその都度覚えていけば、文法力強化・語彙力アップに繋がります。そして、学校によってはリスニング問題が出題されます。付属のCDを聞くことにより、対策しましょう。
【理科】
物理・化学・生物・地学分野と幅広い分野にわかれているため、自分自身がどこが得意でどこが苦手なのかが分かりづらいです。物理分野が苦手と言っても、電気の単元が苦手なのか、運動の単元が苦手なのか。人それぞれです。それを過去問を使って、はっきりさせ、繰り返し過去問を解くことにより克服できるはずです。また、自分が受験する学校ではどんな分野が毎年出ているのかを知ることができ、受験勉強に生かすことができるでしょう。
【社会】
地理・歴史・公民と社会は分野にわかれており、地理の中でも日本の地理、世界の地理などいろいろな単元に分かれています。そのため受験勉強をしていても、どうしても抜けてしまう単元も出てきます。それを過去問を使って発見しましょう。抜けている単元、苦手な単元が見つかれば、そこを重点的に復習できます。また、記述式が多い学校もあります。ただ暗記するだけでなく、用語の意味を正しく理解し、文章を作る力が求められます。これは過去問を解かないとわからないことです。
まとめ
受験直前まで点数を上げるための、過去の試験問題の使い方をご紹介してきました。毎年、入試前になると驚くほどグッと伸びる子がいますが、そういう子はやはり過去の試験問題を正しく使っています。最後の仕上げに成功していると言えます。
この記事では「これさえおさえておけば最後の仕上げは大丈夫!」といったポイントばかりを紹介してきたつもりなので、ぜひ参考にしながら過去の試験問題を活用してみてください。